ブログ「ひと葉日記」

「いらない土地を国に返せる?」相続土地国庫帰属法の新設

いらない土地とは?

いらない土地・・・不便な立地の原野や山林など、先祖から引き継いだ土地でも、利用価値がなく、むしろ経費ばかりがかかる土地。「不動産」ではなく「負動産」などと言われ、相続の際の頭の痛い問題となっています。

現在の制度では、土地を相続したくなければ、すべての財産を相続しないと宣言する「相続放棄」という制度は、ありますが、一部の土地だけ相続しないということは出来ないのです。結果、土地は放置され、費用がかかるという理由で登記もしない。こうして、所有者不明土地は増え、いまやインフラ整備の障害となる等の社会問題にまでなっています。

国もこの所有者不明土地の問題を解決すべく、相続登記の義務化を進める一方で、いらない土地を国に返す制度を新設することにしました。

「相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律」(通称:相続土地国庫帰属法)2023年の施行予定です。

これで、いらない土地は国に返せるようになるのか?というと実はこの制度を利用するには、ハードルがかなり高い。つまり要件が厳しいのです。

国に返せる要件

1.相続または遺贈により取得された土地であること

2.手数料の納付

・申請時の審査手数料(現時点では未定)

・10年分の土地管理費用額(参考:原野、山林等は10万円、市街地(200㎡)80万円)

3.本制度を利用できない土地

・建物や通常の管理または処分を阻害する工作物等がある土地

・抵当権等の担保権や地上権や賃借権などの権利が設定されている土地

・土壌汚染や埋設物がある土地

・境界が不明な土地や権利関係に争いがある土地

・崖がある土地で管理に過分の費用や労力を要する土地

・通路などで他人によって使用される土地

要件をクリアしても、結局のところ審査をパスしなければ、返せないのか?という部分も不透明です。せっかくの制度も利用できなければ、所有者不明土地の問題は解決へは向かいません。今後の柔軟な運用に期待したいところです。

関連記事:名寄帳に関する記事はこちら